6月女性会員の会「会員を囲んで」第11回
話題提供:河野貴美子さん(日本医科大学)

「主観の科学を考える」
――脳波の計測あれこれとこれからの科学――
日時 2006年6月10日(土) 13:30−16:30
場所 文京シビックセンター 4階会議室B

感想文
森崎尚子さん


 女性の会では会員の研究報告と交流をかねた会を開催していますが、
6月10日は文京シビックセンター会議室に10名が集まり、日本医科大学の
河野貴美子さんから「主観の科学を考える 
- 脳波の計測あれこれとこれからの科学 - 」というお話を伺いました。
脳波は頭皮上16カ所ほどに電極をつけて、ごくわずかな脳内の電位変化を
測定します。脳波は測定する位置、覚醒時か睡眠時かなど多くの条件に
よって異なります。
以前は大型であった計測器が小型化されて持ち運びできるようになったため、
赤ちゃんからお年寄りまでそれぞれのところに出向いてさまざまなデータを
集めることが出来るようになりました。
脳波は周波数によってδ波(-4 Hz)、θ波(4-8 Hz)、α波(8-13 Hz)、
β波(13-30 Hz)と名称がつけられています。
覚醒の閉眼時に後頭部にあらわれるのがα波で、精神活動抑制系の指標です。
精神活動の指標とされるのがβ波です。河野さんが研究を始められた頃は
診断以外に自由に使える脳波計があまりなかったため、マスコミ関係者から
様々な測定の依頼がきました。気功師と気の受け手、珠算や速読などの能力が
ある人などで、課題や作業に集中している時とそうでないときに差があるかを
測定します。
たとえば気功の場合は、送り手と受け手の脳波の同調的傾向がみられ、
音楽や良い香りを嗅ぐなどのリラクゼーションでは、その作業中は脳が活動し、
終わってホッとするとα波が大きくなります。α波を大きくすることより、
脳のあちこちを働かせる事の方が大事だということです。
デカルトが「物体と精神を切り離して考える」として以来、自然科学は主に
物体を扱う学問として進んできました。
心や意識とはどういうものか、楽しいとか嫌などという心の問題も科学の内側
に取り込まなければならないのではないか、脳波測定を通じてこのような主観
を取り入れた科学にかかわれないかと河野さんは考えながら、研究を続けて
おられます。        (森崎尚子)





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